月別アーカイブ: 2017年10月

ラストでは冒頭より良い状態になっているか

どん底では冒頭より悪い状態になっているか
で書いたことと同じように、ラストでは序盤よりもいい状態になっていないといけません。

何か困難が訪れて、それを解決し、元通りの生活に戻った、ではダメなのです。

冒頭で何か苦悩を抱えている状態からスタートするのなら、それが解決されて終わり。
逆に冒頭で何の苦悩も抱えていない状態からスタートするのであれば、最後には元通り以上の状態になっていなければなりません。

主人公は物語の途中で様々な試練に直面します。何かしらのトラブルが起こったり、人生がうまくいかなかったりです。そしてそれを乗り越える時、主人公は内面的な成長を経験しており、その成長があったおかげで、ラストでは冒頭よりも良い状態になっている。

もちろんこれは基本的にハッピーエンドで終わる場合の話なので、ホラー映画などではこの限りではありません。

どん底では冒頭より悪い状態になっているか

人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』の著者による『荒木飛呂彦の漫画術』という本の中で紹介されている、脚本の黄金曲線があります。

横軸が時系列、縦軸が主人公の状態の良し悪しを表しています。

とてもシンプルでわかりやすく、

      1. 最初は0の状態。
      2. 物語序盤で昇る。
      3. どん底に落ちる。
      4. 最後に極限まで昇る。

を表しています。アクションも、サスペンスも、恋愛ものも、あらゆる物語には抑揚があり、そのどれもが多くの場合このような曲線をなぞっていると言っても過言ではありません。

さて、ここでのポイントの一つは、「どん底では冒頭よりも悪い状態になっている」ことです。

例えば恋愛ものなら、

      1. 恋愛に興味がない。
      2. 恋が芽生える。
      3. 振られて大打撃。
      4. 実ってハッピーエンド。

となり、「3. 振られて大打撃」では『こんなことなら恋愛なんかするんじゃなかった』とさえ思うほどのショックを受けています。つまり「1. 恋愛に興味がない」ときの方がマシ、ということです。

これが、もし序盤の0以下になれなければ途端につまらなくなります。

例えば「昔一回告白してダメだった相手にもう一度告ってもやっぱりダメだった」とか。これは全く面白くないですね。最初の良くない状態に戻っただけです。

どん底では徹底的に落とす。想像しうる最も最悪の状態を目指すくらいがちょうどいいのです。

参考図書: 荒木飛呂彦の漫画術 (集英社新書)
http://amzn.asia/gsTCNoz

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最終更新日 : 2017年10月2日

上演時間は決まっているか

上演時間を守ることは大切なことです。公演の上演時間をきちんと決めて守ることは、お客さんにとって親切であると同時に、より精度の高い脚本を書くためにも役立つからです。

例えば、最初に上演時間を80分と決め、通し練習をしていて何回やっても90分を超えてしまう場合は脚本を書き換えます。なぜなら、通し練習を何度もやって大体の上演時間がわかってきた段階では、まだ詰める作業ができていないことが多いからです。大抵の場合、その段階では余分なセリフや余分なシーンがある可能性が高い。

まず最初に余分なセリフを削除します。これは厳密に文字数でカウントします。一言多い箇所を見つけては消したり、短く言い換えたりさせます。脚本を何周も見直してそれを出来る限りやり終えても、全体の文字数は驚くほど変わっていなかったりします。

そういうときは本腰を入れて、シーンをごっそり削ることを決意します。キャラクターによっては登場回数が一回減ったり、大事なセリフがなくなったり、笑いをとるシーンがなくなったりします。これはとても勇気のいることです。ですが驚いたことに、それを決行し上演時間を守りきった後の脚本はとても整理されており、むしろこうでなければならない、といえるほどいいものになっています。

脚本は、脚本家が自分で思っている以上に、盛り込みすぎである場合がとても多いのです。