紙袋が道路に落ちていた

こんにちは!合気道!ガストンです!

これは2週間前ぐらいに書いた話。カナダでの話。道路を渡ろうとしていたんです。道路に紙袋が落ちているのが目に入りました。この時点で高貴な日本人紳士の僕なんかは「やれやれ」ですよ。こっちの人はよくポイ捨てをするんです。公共の場でもマナーが悪い人が多い。

 今までで一番驚いたのは、バスの中でね、バスの中でですよ?バスの中で、バリボリとせんべいを食ってる太ったおじさんがいたんですね。まあせんべいはこっちにありませんから、せんべいっていうかバリバリ音の鳴るビスケットなんでしょうけど。カナダのバスって日本の電車みたいに、車両の両側に椅子が向かい合う形で並んでるんですね。だから僕は「やだなあ」と思いながら「やだなあ念波」を目を通してチラチラ見ながらチラチラ送っていたんです。嫌がらせチラチラビームを斜め前に座るビスケットおじさんに送っていたんです。まあもちろんビスケットおじさんと目があったらビームはそらすんですけどね。

でね、チラチラ見ていて気づいたんです。ビスケットが明らかにポロポロ落ちてるんですよ。信じられますか?バスの中ですよ?僕みたいな高貴な日本人紳士は、カロリーメイトを部屋で食べるときでさえ一粒の粉末も落とすまいと顔を上に上げて、噛んだ瞬間に出る粉末を全て口で受け止め、かつポロポロ粉末がいつ時間差で落ちるかもわからないザラザラ断面をちょっと舌で舐めまわして、噛んだだけでは落ちなかったポロポロ予備軍まで99パーセント除去してから顔を正面に戻して咀嚼を始めるわけですよ。そんな日本人紳士からしてみれば、バスの中で!ポロポロ属性のビスケットを!正面を向いて食べ!ポロポロこぼしていると!何をやっているんだと!せめて上を向いて食べるとか、一口で口に放り込むとかいう工夫をしたらどうなんだと!

しかもね、そのビスケットおじさん、手についたビスケットを自分のズボンで払うんですよ!もう、何を考えているんだと!もはや意図的にポロポロしているではないかと!ちなみにみなさんは、この「手についたスナック菓子のポロポロをズボンで払ってポロポロする」という行為、許せる人ですか?もしこれを自分の家でされたら、ブチ切れて胸ぐらを掴んで窓から外に放り投げるだけの正常な頭の人ですか?あ、もちろん高層マンションの高いところに住んでいる人はやっちゃダメですよ!何考えてるんですか!

もちろん僕は許せません。しかしあのビスケット男はやったのです。もう僕の頭はあの男の足元に広がるもはや肉眼で確認できる程のビスケットポロポロのことでいっぱいです。誰が掃除するんだ・・誰が掃除してくれると思っているんだーー!今すぐお前が舐めろ!今すぐお前が、地面に這いつくばってペロペロとそのビスケットポロポロを舐めなさい!そして透明のビニル袋に入ったポロポロビスケットを完食したビスケット男。んなっ!?こいつ・・手をパンパンしやがった!?両手についたビスケットポロポロを、ポロポロビスケットを食べたせいでビスケットポロポロが付着した両手を叩くようにこすりつけてパンパンしやがった!?ズボンポロポロに留まらず、両手パンパンまで・・

周りの人は見向きもしないんです。信じられますか?チラチラビームを出しながらも動揺を隠せないであたふたしているのはバスの中で僕だけですよ?この電車みたいな椅子の並びからして、明らかにビスケットおじさんの犯行の数々はみんな知っているはずなのに、動揺しているのは僕だけ!ビスケットおじさんの足元には鳩がたかろうものなら6,7羽は満足してやれるんじゃなかろうかという分量のビスケットポロポロがこんもりお山を作っているというのに、動揺しているのは僕だけ!なんだお前たちは!これがカナダの国民性なのかと!お前たちはこのビスケットおじさんが急に家に入ってきて何の断りもなくリビングのソファに腰掛けて足元にビスケットポロポロのお山を作って鳩を7羽呼び寄せたとしても何も言わないのかと!今みたいに何も言わないのかと!おれなら注意するどころじゃない!警察を呼ぶぞ!

憤りに身を任せてカナダ全体の株がこのビスケットおじさんのせいで大暴落していく中、僕は次に見た光景に息を止められた。まるで予想だにしていなかったことが、現実に起こった。

ビスケットおじさんは座ったまま後ろの窓を開け、道路にビニル袋を投げ捨てたのだ。

何が起こったのかわからなかった。バスは道路を走っている。ビスケットおじさんは、たくさんの乗客がいる面前で、バスの窓から、ポイ捨てしたのだ。なんだ、この国は。もうだめだ。僕はこの国では生きていけない。見ろ。周りの客は未だにチラチラしていない。見ただろう。今の光景を。一人ぐらいは見ただろう。なぜうつむいている。お前らはこんなことをされても平気なのか。知らないおじさんが急に家に上がってきて、リビングのソファに腰掛けて足元にビスケットポロポロのお山をつくり鳩を呼び寄せしかもその後ビニル袋を窓から中庭に投げ捨てたとしても黙ってうつむいているというのか。僕なら警察を呼ぶだけに留まらず胸ぐらを掴んで高層マンションの最上階の部屋へ行ってから窓からビニル袋のように投げ捨ててやる。

バスの中で、僕の他に唯一、僕と同じように動揺していた青年がいた。顔立ちから察するにアジア系だった。韓国人だろうか。僕と彼の目があった。お互いの考えていることは間違いなく一致していると確信した後、すぐに目を逸らした。僕は、これからはアジア圏内で生きていこうと思った。旅行に行くなら韓国だと思った。

紙袋の話はまたいつかする。