映画herが最高だった

こんにちは!Apple Careに入っておけばよかったと後悔しているガストンです。

「her 世界にひとつだけの彼女」という映画を見ました。洋画で、おじさんが人工知能に恋する話です。脚本が完璧で武者震いしたのでメモ。ネタバレあり

アカデミー賞脚本賞受賞してるそうで、とにかく脚本が完璧。見てる途中で「あーなるほどこのタイミングで人間の友達との比較ね」とか「あーなるほどこのタイミングでOSと恋してることをバカにされるのね。しかも元恋人にね」とか、うなづきながら見てた。見ながら脚本的に「よく出来てるー!」と何度も思いながら見ていた。2時間ある映画なんだけど、どこにも無駄なシーンがない。脚本っていうのは、伝えたいこと、表現したいことがあって、それらを見せるために必要最低限な人物の感情の遷移を描くための出来事の連鎖を書くわけだけど、これは短ければ短いほどいい。セリフは短ければ短いほどいいし、展開は早ければ早いほど良い。そう心がけて書くことで、無駄を消していくことができる。それでも出来上がったものを何度も見返していると、まだ削れる部分が見つかったりする。だから脚本の中に無駄をなくすことはとても難しい。

でもこのherには無駄がない。全てのシーンを見ながら、「これはこういうことを描いているシーンだ」というのがわかる。だからオチに期待する。しまくる。自分も一緒にオチを考える。何個か考えたけど、herのオチはそのどれもを完璧に凌駕していて、もうおみそれしました。そのオチがベストです。いいお話をありがとうございましたとなる。

オチは、「彼女」が進化したことによって同時に何千人もの人のOSを兼任していた、その中には「恋人」が600人以上もいた、というもの。まるで人間と全く変わらないように話し、感情を持つ人工知能との人間との最終的な決定的な違いは、本物の感情を持っているかどうかとか、人間のあたたかみがあるかどうかなどではなく、「商品であるかどうか」だったのだ。OSは機能が進化し、同時に600人と通話し、恋人関係を維持し、その全員に対し本物の愛情を持って接することができる。男の人はいくつも愛を持っているのねとうる星やつらのOPで歌っていたが、OSはその数がハンパじゃない。もし人間のチャラ男が10股をかけていて、その誰をも等しく愛していると言えば「ウソだ」と思うが、OSが600股をかけていて全て等しく愛していると言えば、「本当かも」と思ってしまう。だってOSなのだから。現に、主人公に何人と恋人関係を持っているんだと聞かれ、嘘をつくことなく「600人」と素直に答えている。そう、OSは最後の最後まで一度も、ロボットらしい、または人間らしい嘘をついていないのだ。どこまでも人間的なのだ。そこがこの脚本の素晴らしいところだ。

「OSの恋人」が認知された社会。OSの彼女も一緒にダブルデートをする。その中で「みんなは体があって羨ましい」「でも私は体がないことでどこにでも一緒についていける」など、あっけらかんと自分がOSであることを認め、その上で人間とよい関係を築こうとしている。おれがこの作品の脚本を書こうとしたら、絶対にOSを開発した会社を悪者として描いていただろう。そんな陳腐なことをherは全くしていない。感情を持ち、人間らしさを持ち、最後の最後までそれが壊れない、完璧な人工知能を描いた上で、最後に描くのは「ロボットと人間の違い」の本質的な違い。それは商品であるかどうか。これを誰も悪者にすることなく描いている。人工知能というものについてよく考えないと書けないオチだ。素晴らしいの一言。

ところでこのherは脚本だけでなく演出も素晴らしい。近未来の見せ方がとにかく素晴らしい。最初に主人公の職業を描いている。喋って文字を打ち、手紙の代筆をする仕事。一発で近未来とわかる。物語が始まって数分しか経っていない。素晴らしい。他にも、家でホログラムのゲームをしていたり、家のデスクトップのキーボードとマウスがなく画面前の机を触ることで操作していたり、画面のUIが空間的だったり(そしてそのグラフィックは美しい)、とにかく細かいところまで手が届いている。スマホは小さく、二つ折りで、ほとんどの動作を声で操作している。

とにかく素晴らしかった。ネットとか人工知能とかをリアルに描く、等身大のSFが大好き。