平均値なんかクソの役にも立たない

こんにちは!滑舌よくなりたいぜ!ガストンです!

中学に入った頃から、大学は美大だろうと思ってた。で、高校で美術部に入り、高1からデッサンの予備校に通った。武蔵野美術大学が第一志望だった。ムサビといえば多摩美と並んで国内トップの私立美大だ。果たしておれはムサビ行けるのか?不安だった。美術部の先輩は、「高1から3年間デッサンの予備校通ってたら頑張ればまあいける」という。でもやっぱり不安。当時ムサビの倍率は何倍だったか。全然覚えてないけど、倍率を見ておれは怖気づいてた。その様を見た美術部の顧問の先生が言った。「倍率なんて関係ない。デッサンの予備校にも通わず、勉強もできない高校生が、『簡単そうだから』という理由で美大を受験したりする。だから倍率は無視していい。お前が見るべきは過去の入試の合格者作品のデッサンのレベルだ。それらと同じレベルのデッサンが書けて、同じぐらい勉強ができれば、受かる。それだけだ」

先生の言葉全部が腑に落ちた。おれは今も、なんとなく、この先生のこの言葉はこの世のその他多くのものに当てはまると思ってる。みんな、平均値を気にしすぎだ。でも大事なのは相対的な値ではなく絶対的な値だ。そういう話。

さっきのデッサンの話をもう少しする。美術部の先生と似たことを、デッサンの予備校の先生もおっしゃっていた。先生は、予備校の卒業生のデッサンをおれに見せてこう言った。「これぐらい書けたらどこ受けても受かる。このデッサン見て、何がどううまいかわかるか?自分のデッサンとどう違うかわかるか?今の自分に何が足りんかわかるか?わからんだろ。でもおれは教えん。自分で考えろ。まだ3年ある。時間はある」

そのデッサンの良さが、当時のおれにはまるっきり分からなかった。「これくらいおれだって時間をかければ今すぐにでも書ける」そう思った。実際、何がどうすごいのかわかってなかったからだ。デッサン教室は、それをわかるための作業だった。先生は本当に何も教えてくれなかった。

でも半年、1年と経つにつれて、自分で考えて自分で気付きながら少しずつわかってきた。

今となっては美術部の先生が言っていたことも予備校の先生が言っていたこともわかる。

ようは、ムサビが求めているデッサン力を把握し、それを練習し、上達し、求められているレベルに達し、かつ勉強もできれば、ムサビには受かるのだ。簡単なことなのだ。だがデッサンなどの実技は勉強と違って、素人目には「今自分は何点で合格点まであと何点足りない」という風に現状の実力を測れない。だから難しそうに感じる。青天井に感じる。

全く同じことが美大に入ってからも何度もあった。グラフィックデザインの課題で、先生は何を基準にいい悪いと評価を下しているのかわからない。でも評価を聞く限り、自分の作品はアイツのよりは上で、アイツのよりは下らしい。

演劇をやっていて、自分がどのくらい演技がうまいのかわからない。でも周りの意見を聞く限り、アイツよりは上手いらしく、アイツよりは下手らしい。

そういうのがもどかしかった。結局は、審美眼を持っていなければ、周りの意見を頼りに相対的な判断でしか自分の立ち位置を把握できない。

そして、その状況は非常に深刻で、超マズイ状況と言える。審美眼は、ものをたくさん見て、たくさん真似て、たくさん作品を作っていれば必ず養うことができる。

課題をやって、クラスの中で順位付けをして、上から何番目だったから自分はすごいのだ、とか、下から何番目だったから自分はだめなのだ、とか判断していたのではいけないのだ。

順位づけされる前から自分の作ったもののレベルを把握しておくべきだ。

演劇サークルの中で、周りの友達と比べて自分の演技が上手い下手だと判断していてはだめなのだ。テレビの中の俳優と比べて自分は何がどうだめなのか自分でわかっていなければならない。そんなのは、自分の演技を動画に撮って見ればわかる。わからなければならない。

おれが上手いデッサンを見せつけられて、「早い話が、これぐらい書ければムサビに受かるのだ」と言われた時と、今まったく同じ状況にいる。きっといつまでも同じ状況にいる。

演技上手くなるのを目指すにしろ、デザイン上手くなるのを目指すにしろ、他の何にしろ、クリエイティブの世界のいいところは、ゴールがいつも素っ裸でおれたちの目の前にいてくれることだ。「ようはこれと同じレベルのものを作れるようになれば君もプロだ。話が早いだろう?」プロの作品が、雑誌の中から、テレビの中から、駅の広告から、ウェブサイトの中から、四六時中おれに話しかけてくる。

「どうやったらデザイン上手くなるだろう?」とか、「どうやったら演技上手くなるだろう?」とか、言ってる場合じゃないんだ。自分で考えて自分で練習方法がわからない時点で、もう手遅れなんだ。審美眼が備わってないんだ。観察力が足りてないんだ。

周りの人間と比較する必要はない。自分の作品を、プロの作品と比べればいい。それを忘れないようにしよう。

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